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唾液って素晴らしい

 唾液(つば)の効果というものが中国では、紀元前からずっと注目されてきました。
その中国では、長寿法の1つとして“夜中に起きて、つばを飲む”と言うことも重んぜられ、その方法も伝わっていました。
多くの学者や貴族が、良くつばを飲んだり、ゆっくり、ゆったり、良く噛んだりして口の中に入っている食べ物に唾液を十分
まぶしながら、この長寿法を実行したという記述も残されているそうです。
 唾液は、動脈硬化や認知症の原因となる物質の発生を防ぎ、また、長生きをさせる「長生きモルモン」など、人間が生き
ているために必要な多くの種類のホルモンや酵素類を、豊富に含んでいます。
 また、良く噛むことで豊富に出てくる唾液には、精神を安定させる精神安定剤の働きもあることが解ってきました。
唾液の効用は、現在も沸き出てくるように新発見が発表されていますが、まだまだ解明できていない部分も多くあり、さら
に唾液の研究が進めば、身体の健康にとって一層素晴らしい貢献をもたらせてくれると思います。
唾液は、いつも口の中でわずかずつ分泌されていますが、食べ物などが入ってくると盛んに分泌されるようになります。主に、唾液は3大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)から分泌されますが、口の中に入ったもの、精神状態によっても、その量や性質は違ってきます。特に、歯ごたえのあるものをゆっくり、くつろいで噛むことによって、唾液ホルモンなど唾液に含まれている有効な成分が大量に分泌されて、歯を丈夫にするだけでなく、血のめくりを良くし、身体の隅々まで栄養を行き渡らせて筋力を高めたり、造血作用などを盛んにしたりしています。 胎内に於いても、赤ちゃんは母体の唾液ホルモンに助けられて歯や骨を作っていくので、妊婦がよく物を噛んで食べるということは非常に重要な行為といえます。
 また、唾液中のリゾチーム、ラクトフェリンなどは口の中の細菌の繁殖を抑えてくれます。つまり、口の中は唾液による自浄作用(自然の清掃作用)があり、それは、ムシ歯予防にも効果を発揮していますが、毎日の食事で、よく噛んで唾液を豊富に出すことで、食中毒の予防にもなっているのです。
 以前、日本中を震撼させたのに、特に学校給食を介して児童を巻き込んだ、「O−157」による食中毒事件があります。この時、同じものを食べて食中毒を起こした児童と起こさなかった児童がいます。この差は何だったのでしょうか?その理由の1つに、“よく噛んで食事していたかどうか?”が有ります。つまり、よく噛むと、それに連動しで唾液も多量に分泌され、しかも、まんべんなくこなされることによって食べ物との接触面積が増加して、効果的に食べ物の隅々まで殺菌されるのです。
 唾液のすばらしさを色々ご紹介しました。しっかり噛んでたくさんの唾液を出せるように歯を大切にしてください。
                                                 「食」の摩訶不思議   市来英雄著 より
 

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