≪むし歯と歯槽膿漏(歯周病)の違いについて≫

1.むし歯菌と歯周病菌の違い

 むし歯菌の代表ミュータンス連鎖球菌は通性嫌気性菌(少しの酸素があっても生育可能な細菌)
で、唾液や飲食物中に含まれる糖分を栄養源としています。
 歯周病菌は病状によって菌の顔ぶれが異なりますが、その代表格の菌はいずれも偏性嫌気性菌
(酸素が存在すると死滅する細菌)でプラーク中にあるタンパク質を栄養源としています。だか
ら甘いものを食べてむし歯になることがあってもそれだけでは歯周病になるとは限りません。

2.むし歯と歯周病が生じる部位の違い

 むし歯は歯の表面(エナメル質、セメント質、象牙質)で生じますが、歯周病は歯を支えてい
る歯ぐきやその下の骨(歯槽骨)で生じています。

3.むし歯と歯周病での歯磨きの違い

 先程お示ししましたがむし歯は歯の表面で生じますので口の中に出ているすべての歯の表面が
歯磨きの対象になります。
 歯周病は歯そのものではなく歯を支えている歯ぐきで生じその下にある骨に進行する病気です
ので歯ブラシは歯と歯ぐきの境目から少し入った歯ぐきの内側が対象になります。
 お口の中には歯という硬い組織と歯ぐきという軟らかい組織があります。ですからむし歯予防
用の歯ブラシと歯周病予防用の歯ブラシは替えることが理想的です。ただし歯周病における歯ぐ
きの深さを測る検査(歯周病検査)の数値が小さく歯ぐきが健康な方は歯ブラシを替える必要は
ありません。
 またむし歯予防の歯磨きでは硬い組織を磨きますのである程度力が入って歯ブラシの振り幅が
大きくなっても構いませんが、歯周病予防の歯磨きでは歯ぐきという軟らかい組織を磨きますの
で軟らかめの歯ブラシであまり力を入れずに振り幅を小さくするように心がけて下さい。

歯周病予防のためにどこを磨くか