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よく噛んで健康に

 日本人の咀嚼回数(噛む回数)は戦前の1/2以下、邪馬台国の卑弥呼の時代に比べると
1/6に減少しています。
 「よく噛む」ということは単に食物を消化しやすいように細かくするだけではなく、脳に
刺激が伝わって満腹中枢が刺激され、お腹がいっぱいになったという感覚が出て来ます。
これには少なくとも15〜20分はかかると言われています。逆によく噛まずに食べると、
なかなか満腹感が得られず過食になりやすいのです。近年の肥満や生活習慣病の増加は、ス
トレスや栄養の偏りそして運動不足等とともに良く噛まない食べ方にも深く関わっています
。まさにメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群、代謝症候群)にも関係しているので
す。
 また、よく噛むと唾液の分泌が増加し、食品中の発癌毒性は唾液によって極めて小さくな
ることが知られています。変異原物質の毒性がヒトの唾液に30秒間浸けることで数十分の
一になることも報告されています。良く噛み十分な唾液を出すことがガン予防の働きをして
いるわけです。
 さらに噛むということは脳の記憶力に関与する海馬の活性化にも関与していることが明ら
かになってきています。また脳の前頭前野が咀嚼によって活性化されることも報告されてい
ます。
 親は子供に「良く噛んで食べなさい」と繰り返し言い聞かせ、また少しでも噛むように食
材を考え調理を工夫することも大切です。
 その他にも「よく噛む」ということは様々な効用があります。以下に『ひみこ の はが
 いーぜ』の標語を紹介させていただきます。
                  <岩手県歯科医師会「歯科保健指導マニュアル」より>
1.卑=肥満防止
 よく噛むことにより、体温が上昇し、摂取エネルギーの消費量が大きくなり、体脂肪への蓄積量が減り、 肥満防止に役立ちます。また、血糖値やインシュリン値が上昇し、脳の満腹中枢に働きかけて過食をさけ、 肥満を防ぐ効果があります。
2.弥=味覚の発達
 多種多様な食物をよく噛むことで、舌にある味蕾がいろいろな味を識別し、味覚が発達することになる のです。
3.呼=言葉の発音
 よく噛むことで口の周りの血液循環がよくなり、顎骨や岨疇筋の発育が促進され、歯並びが良くなりま す。また、舌や唇の運動機能を発達させ、それが正しい発音を生み出すことにもなります。
4.の=脳の発達
 よく噛むことによって脳血流量が増加し、咀嚼筋を動かす脳の中で最大の三叉神経を刺激することにな ります。小児の咀嚼は、幼児期の脳発育に促進的影響を及ぼします。
5.歯=歯の病気予防
 よく噛むことによって唾液の分泌を促し、歯の表面に食物が付着しにくくなります。また食塊が歯から 歯肉へと流れるため、食塊による歯肉へのマッサージ効果もあり、歯周病の予防にもなります。
6.が=癌の予防
 唾液中のペルオキシダーゼは発癌物質を不活性化します。よく噛み唾液とよく混ぜ合わせて毒消しをし てから胃の中へ送り込むことにより、癌を予防することが可能となります。
7.い=胃腸快調
 よく噛むことにより唾液の分泌量が増加し、唾液中の消化酵素(主にアミラーゼ)の働きが活発となり ます。また食物も細かく砕かれ胃腸での消化吸収がスムーズになります。
8.ぜ=全力投球
 硬い物を噛み砕く爽快感、触覚と圧覚を無意識な快感としてとらえることはストレスの解消となり、情 緒的にも精神的にも安定します。そして何事にも全力で打ち込める精神状態が得られます。
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